2016年08月01日

あなたが正しいと信じていることは本当に正しいのか 文 安藤俊介 2016年8月1日 - 安藤俊介のアンガーマネジメント - 朝日新聞デジタル&M

あなたが正しいと信じていることは本当に正しいのか
文 安藤俊介
2016年8月1日 - 安藤俊介のアンガーマネジメント - 朝日新聞デジタル&M

前回のコラムで、自分の「〜するべき」は、魔法のように突然なくなるものではありません。のんびりとした気持ちで、時間がかかるものと考えましょう。そうしないと、変われないという自分が嫌になってしまいかねないのですと書きました。なんだやっぱりそんなに簡単じゃないのかと思われた方も多いかもしれません。でも、だからと行って自分を苦しめる「〜するべき」を放っておくことはお勧めしません。

 今回は前回の内容と矛盾するようですが、自分の「〜するべき」は意外と簡単に書き換えられるということを紹介します。では次の質問に答えてください。

 あなたは電車の進路を変更することができる進路変更機の前に立っています。変更機の先は線路は二股に分かれています。分かれた片方の先では5人の作業員が、もう一方では1人の作業員が作業をしています。

 すると向こうから電車が走ってきます。作業員は誰も気づきません。あなたが何もしなければ5人の作業員はひかれてしまいます。もしあなたが進路変更機を動かせば電車は進路を1人の作業員の方へ変えます。当然、1人は犠牲になってしまいますが、5人は助けることができます。

 さて、あなたは電車の進路を変えて5人の作業員を助けますか?

 答えを考えたら、次の質問に答えてください。

 今度はあなたは線路にかかる陸橋の上に立っています。下に見える線路では5人の作業員が作業をしています。今回の線路は一本道です。電車が向こうから走って近づいてきていますが、5人は誰も気づきません。このまま何もしなければ5人はひかれてしまいます。

 あなたの目の前には1人の作業員が作業をしています。もしあなたがその作業員を陸橋から突き落とせば、電車はその作業員をひいた瞬間に止まり、5人の作業員は助かるとします。

 さて、あなたは目の前の作業員を突き落として5人を助けますか?

 いかがでしたか。これは人の倫理観を問う「トロッコ問題」という古典的な思考実験です。前者も後者も要は5人を助けるか、1人を助けるかを聞いています。ところが、ある統計によると、前者では85%の人が5人を助け、後者では15%の人が1人を助ける(何もしない)ことを選んでいます。

 このことが良いとか悪いとかということではありません。多くの人は条件や環境を少し変えるだけで、自分の考えをいくらでも変えることができると知って欲しいのです。

 あなたが今正しいと信じていること、居心地が良いと思っていることは、この先何があっても変わらないと言い切れるでしょうか。あなたが持っている「〜するべき」はいくらでも変えることができます。頑固で変えがたく見えるものでさえも、ただの思いこみにすぎないことがあるのです。

 自信を持って自分を苦しめる「〜するべき」に向き合い、変えていってください。

    ◇

安藤俊介(あんどう・しゅんすけ)
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」の日本の第一人者。怒りの感情のプロフェッショナルとして、教育現場から企業まで幅広く講演、企業研修、セミナーなどを行い、社会にある怒りの課題解決に取り組む。著書に「怒りに負ける人、怒りを生かす人」(朝日新聞出版)、「『怒り』のマネジメント術」(同)など。日本アンガーマネジメント協会公式HP:https://www.angermanagement.co.jp
現代人はどうしてイライラしやすくなったのか
文 安藤俊介
2016年7月4日
仕事柄、よく取材を受けます。その時に話題になるのが、イライラしている人は増えているのかどうかということです。私の考えでは、現代は人がイライラしやすくなる条件がそろっているので、確実に増えているのではないかと思っています。今回はイライラしやすくなる大きな二つの原因について書きたいと思います。

異なる価値観の人が増えた

 私たちが怒る理由は、ごく簡単に言ってしまえば、自分が信じている「〜するべき」というものが目の前で裏切られた時です。例えば、マナーは守るべきと思っている人はマナー違反の人を見ればイラッとします。仕事はこうするべきと思っているのに、人がそうしていなければ腹が立ちます。会社は、上司は、部下はこうあるべき、夫婦は、子育てはこうあるべき等々、私たちは実に多くの「〜するべき」を持っています。

 良くも悪くも一昔前は社会としての何となくの「〜するべき」が共有されていました。例えば、上司がいる間は新人は帰るべきではなかったですし、会社の飲み会は出るべきものでした。働き方はみんな決まっていて、それに疑問があったとしても、従う人の方が大多数でした。

 ところが、今は働き方は自由であるという風潮なので、どのように働くかは個人次第となります。そのため、自分が思う働き方と違う人たちと一緒に働かなければいけない場面が増えました。そうなれば当然、イライラすることは増えます。

 社会として、価値観の多様化が進むことはとても良いことですが、一方でそれを受け入れられない人も増えるのです。

多くのことが「できて当たり前」に

 携帯電話がなかった頃、どのように待ち合わせをしていたか覚えていますか? 駅には掲示板があり、遅れた人に対して「○○へ、先に行く」などと書いたものでした。約束の時間に相手が来なかったとしても、連絡のとりようがないので、そんなものとして受け入れていました。今はどうでしょうか? 携帯電話を持っていない人がいないので、少しでも遅れたらすぐに連絡をするのではないでしょうか。

 自分にとって当たり前のことができないと、人はイライラします。電車は「時間通りにくるのが当たり前」なので、少しでも遅れればイラッとします。コンビニでお金がおろせなければ「なんでおろせないんだ?」と頭にきます。ATMで時間内にしかお金がおろせなかった頃は面倒くさくてもATMに自分の行動をあわせていました。

 では、どうすれば、このような社会でイライラしなくて済むか。それには耐性をつけるのが一番です。

 自分と違う価値観の人を受け入れる。例えば、自分と価値観が全く同じ(100点)でなくても、70点なら許せないか考えてみる。自分と価値観が違っていたとしても、多少であれば受け入れることはできます。100点主義ではなく、70点でOKくらいに考えましょう。

 また不便さに慣れてみるのもお勧め。あまりにもいろいろなことが便利にできるようになっているので、たまには不便さを味わってみましょう。例えば、携帯電話を1日さわらない、コンビニに行かないなど、普段当たり前にできていることをやめてみましょう。あえて肉はお肉屋さん、野菜は八百屋さんに買いに行くなどもよいトレーニングになります。

 多様な価値観を受け入れる。不便さに慣れる。この二つがイライラしないためのコツです。
posted by なし at 13:10| 宮城 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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